競走の日々。

2008年4月16日
午後4時ぐらい。
 
小学1年か2年の俺は、スーファミのマリオカートをやっている。
 
隣にいるタクヤ(仮)が1コン、俺が2コンだ。
 
 
タクヤの家のリビングは4時ぐらいになると途端に日が差し込まなくなる。結構薄暗いのだが、電気はつけない。テレビだけが白々しいぐらい明るい。
 
またタクヤのノコノコが1位になった。俺は4位。コンピューターにすら負ける。自分の家にはスーファミがなかった。何度か友達の家でプレイしただけのマリオカートだから、4位でも随分マシな方だ。
 
「またかよ……」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ニコニコでマリオカートの動画を見て、ノコノコが1位になった時のBGMを聞いた途端、ふと思い出した光景。
別に、強烈に印象に残るような出来事があったわけでもない、小学生の頃のごく断片的な記憶。
 
それでも、帰り道、どこかの家から漂ってくるクリームシチューの匂いが、記憶の奥にこびりついて離れない。

あの頃、自分の住んでいる町は広い世界で、小学校の校庭は遊びまわるのに十分な平原だった。

団地に公園はいくつあるんだろう。お寺の裏の山の向こうはどうなってるんだろう。隣町に何があるんだろう。この世界はどんなふうに成り立っているんだろう。大人になるってどんなことなんだろう。

あの狭い世界が、小学生の自分にとっては果てしない探求の対象だったし、好奇心を無限に掻き立てる存在だった。
 
 
 
 
 
 
ちなみに、今、タクヤがどうしているのかは全く分からない。

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