バイタリティ

2009年8月7日 読書
バイト先の生徒の間で、俺の質問対応とかアドバイスの評判がちょっとよくなってるらしい。
このごろ、そういう言葉がいちいち嬉しい。


――――――――――――――――

「僕の友人の話になるけどさ」

「はい」

「こういう奴がいたんだ。そいつは確か25か6で結婚して、なんも不都合することなく結婚生活もうまくいってたんだ。けど」

「だけど?」

「どうしても子供ができなかったんだ。いわゆる不妊症だったらしい。そのままでも十分幸せだったんだけど、どうしても子供が欲しいっていうんで、医者に行ってまあ薬を出してもらったのさ」

「まぁ、ありそうな話ですね」

「ところがだ。やっぱり薬を使ってコントロールしたせいか、生まれたのは三つ子だったらしいんだよね。しかも全員男の子。
それで、最初のうち、半年ぐらいは子供ができてうれしかったし、喜んでたんだけど、やっぱりいきなり三つ子だし全員男の子だと大変なんだよね。誰か目を覚ましたら泣き声で全員目を覚ますし全員を一度にあやすこともできないから、寝てられないらしい。ちょっと歩けるようになってからは公園に連れて行っても、みんなてんでばらばらに行っちゃうからひと時も目を離せないし」

「それは大変ですね。体がもたないでしょう」

「うん、で結局奥さんは2年ぐらいしたらノイローゼになっちゃったんだ。」

「やっぱり」

「で、育児放棄しちゃって、どうしようもなくなって、夫も仕事を変えて、面倒を見るようにしたんだけど、やっぱりそれでも無理で」

「結局どうなったんですか?」

「……奥さんは結局療養施設に入って、子供は育児施設に預けたか親戚に預けたか、まあそのあたりはよく分からないけど」

「それじゃまるで報われないですね」

「そうそう、誰一人として。奥さんはノイローゼになるし、旦那も仕事変えたり苦労するし、子供達にしろ親に面倒を見てもらえなかったんだから、みんながみんな不幸になっちゃったんだよね」

「そう考えると、何がよくて何が悪いなんて、ほんと分からないですね」

「そんなもんだよ」

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